食に、農に、
まっすぐなまち
美唄市の農業について
美唄市は広大な農地を活かして様々な農産物を生産しています。
中心となるのは北海道内有数の生産量を誇る水稲。
そのほかにも小麦や大豆、なたね、アスパラガスや
たまねぎ、ハスカップや花きなど、
多くの農産物を生産する農業地帯として、
日本の第一次産業を支えています。
また、ますます高まる「安全・安心で良質な農産物」への
ニーズに応えるために、
クリーン農業や有機農業など、
環境に配慮したサスティナブルな農業生産にも
取り組んでいます。
美唄の農産物や食品は、一人ひとりの農家の方による
創意工夫と愛情によって生まれています。
美唄市は、その「食」と「農」の魅力をこれからも
発信することで、活力ある農村としてさらなる発展を
目指していきます。
美唄は有機物が多い泥炭地と寒暖差のある気候が特徴です。これは私たちが栽培しているアスパラガスにはとても良い条件で、親の代から数えれば50年、この地が育むアスパラガスを作り続けています。
こだわりは「安全・安心でおいしいアスパラガス」を作ること。そのため有機物を主体にした堆肥を使ったり、草取りはすべて手作業でやったりしています。春から夏過ぎにかけては、毎日が収穫と手入れの繰り返し。他に作っている野菜の世話もありますから、本当に重労働なんです。だから自分の体調管理には人一倍気を遣っていますね。そうしてできたアスパラガスは大きく、太く、やわらかく。そしてとても甘いんです。直売所で買ったお客さんからも「他のアスパラガスが食べられない」と言ってもらえるほど。手間暇かけたぶん、自慢のアスパラガスです。
美唄のアスパラガスは昔から有名で、需要に対して供給が追いついていないくらい。だから例えば作業の自動化とかが進めば生産量も増えるので、たくさんの人に食べてもらえる。そうやって美唄のアスパラガスがもっと活気づいていったら嬉しいなと思います。
五十嵐ファーム
五十嵐 智子
えぷろん倶楽部では、美唄市中村町で生まれた郷土料理「とりめし」の加工・販売をしています。メンバーは全員、農家のお母さん。午後からはみんな家の仕事があるので、午前だけの活動です。作業は炊き込みからお弁当作り、配達、そして翌日の準備まですべて自分達で行います。注文が多い時は日が昇る前から作業を始めることもありますね。
とりめしの特徴は皮やモツも一緒に炊き込むことで出る深いコク。そしてシンプルな味付けによる素朴な味わいです。お弁当のほかに、ご自宅で簡単に作れる「炊き込みセット」も販売していて、地元だけじゃなく地方の方からもご好評を頂いています。やっぱり「おいしい」と言ってもらえたときが一番嬉しい瞬間ですね。
とりめし作りを始めてもう25年。メンバーもみんなおばあちゃんになりました。目標は長く続けること。これからも伝統の味を守りながら、みんなで元気に続けていけたらいいなと思っています。
なかむら えぷろん倶楽部
小見山 孝子
くるみの栽培を始めてもう50年以上。昔は同業者もたくさんいましたが、今や美唄のくるみ農家はこの上村農園だけになりました。
ずっと変わらないこだわりは、手作りの有機肥料を使うこと。くるみは抗酸化作用のある健康食品ですから、できるだけ自然由来のもので育てたいんです。だから虫や病気を防ぐための農薬も、使うのは必要最低限。そうしてできたくるみは、味が濃くて美味しいんです。
体力的に難しくなった農作業も、家族が手伝ってくれるおかげで続けられています。でも、出荷のための選別は私だけができる仕事。長年培った手の感覚で、一つひとつ病気のないくるみを重さで仕分けています。多いと1トン以上も収穫しますから、これまた大変なんですよ。
正直、もうやめようかと思うこともあります。でも食べた人から「風邪を引かなくなった」「体の調子が良い」なんて話を聞くととてもやりがいを感じるんです。この歳になって人様の役に立てるなんて、こんな幸せなことはありません。それを考えると、つい続けてしまうんですよね。
上村農園
上村 征子
私が作るお米は直播(ちょくはん)栽培といって、育てた苗を水田に植える従来の方法と違い、直接水田に種子を播いて作ります。理由は省力化、低コスト化ができるから。育苗と田植えは作業の負担が大きく、設備費や人件費もかかりますが、直播栽培ならそれらを削減できます。
正直、米価の低下や人材不足など、農家は経営面での苦労が多いんです。お米だけでは成り立たない理由から、複数の野菜の栽培も兼ねるのは珍しいことではありません。だからこそ、少しでも省力しながら収益を上げられる農家が増えるように、研究機関や農機具メーカー、生産者団体などと協力しながら直播栽培の普及に取り組んでいます。そうして様々な地域で導入されたり、若い人でも簡単に始められるようになることで、日本の農業を守ることにつながればと思っています。
主食のお米を作る人がいなくなる未来なんて、きっと考えたことはないと思いますが、食べる人がいてこその農業です。できればスーパーでお米を買うときに、作っている人のことを少しでも思い出してもらえたら嬉しいですね。
田中 政幸
もともと測量士として働いていましたが、実家の農作業を手伝ううちに、父の代で終わらせたくないなと思って農家を継ぎました。メインは稲作ですが、園芸作物にも挑戦したくて2020年から生姜の栽培をしています。
自分なりのこだわりは稲作で得たもみ殻から作った堆肥。もみ殻に多く含まれるケイ酸のおかげで、農薬による病害虫の予防や駆除をしなくてもいいくらい、丈夫な茎葉に育ってくれています。あと気を遣っているのは温度管理。生姜は温暖な地域で作られる野菜なので、実は北海道の気候は不向きです。だからハウス栽培が基本になるのですが、朝と夜の寒暖差が激しいので、一定の温度を保つために少しも気が抜けません。その代わり、ハウス栽培は状況に応じた対応がしやすいので、毎年同じ品質と味を提供できるのは大きなメリットだと思っています。
薬味に使われるひね生姜と違って、食材として楽しめるのが新生姜です。辛さもマイルドでどんな料理にも合うので、ぜひ美唄の新生姜を料理に使って食べてもらいたいですね。
鈴木 英昭